売上は変わらないのに利益が出ない:粗利構造から原因を探る
著者: 工藤 瞳 — 主任コンサルタント、
コスト削減の前に、粗利率の変化を3期分さかのぼって確認する。
「売上は前年並みなのに、手元に残るお金が減っている」という相談は、経営改善の入口として最も多いパターンの一つです。この状況の原因は複数考えられますが、まず粗利率の変化を確認することから始めます。
粗利率の変化を3期分で確認する
直近3期分の粗利率を並べると、コスト構造の変化が見えてきます。粗利率が下がっている場合、原材料費・外注費・仕入れ原価のどれが変化しているかを特定することが次のステップです。
原材料費の上昇を販売価格に転嫁できていないケースは、特に製造業で多く見られます。価格改定の交渉を避けてきた結果、粗利率が年々下がっているという状況は、売上の増加では解決できません。
固定費の「新規発生分」を洗い出す
固定費は売上の増減に関係なく発生します。過去3年の間に新たに発生した固定費(人件費の増加・設備リース・オフィス拡張など)を洗い出し、それが売上増加に貢献しているかどうかを確認します。
貢献していない固定費が積み上がっている場合、売上を増やしても利益が改善しない構造になっています。この場合、固定費の見直しが先決になります。
変動費の中に「固定化している費用」がないか確認する
変動費として分類されていても、実態として売上に関係なく発生している費用があることがあります。たとえば、売上が減っても削減できていない外注費や、最低発注量の制約で変動しない仕入れ費用などです。これらを正確に分類し直すことで、損益分岐点の計算が現実に近づきます。
粗利構造の分析は、コスト削減の優先順位を決めるための地図です。どこを削るかを決める前に、どこで何が起きているかを把握することが、改善の出発点になります。